ゲームブックと私
私は幼い頃、本(小説など)が全く読めませんでした。
文字の羅列を見ると、自分が何処を読んでいるか、直ぐに分からなくなり、
書かれてあるシーンを理解するのにとても時間がかかっていたのです。
図書館では、気に入った表紙の本を手に取り、
「この中にはきっと素晴らしい物語が沢山詰まっているんだな」
と夢想し、ワクワクして本を借りていました。
特に口絵(表紙の次に来るカラーイラスト)が大好きで、そればかりを眺める…
そして肝心の中身は全く読んでいない…そういう幼少期でした。
私には兄がおります。
兄は読書家で、何冊もの本を読み(しかも素早く)、幼い頃からかなりの知識を持っていました。
私はそんな兄がとても羨ましかったです。
その兄から読破した本のあらすじを聞き、更に「ああ、本の中には凄く面白い世界が広がっている」と実感を深めておりました。
そんな状況を変えてくれたのが、1985年に二見書房から出版された
J・H・ブレナン著『暗黒城の魔術師』というゲームブックでした。
他の本に比べ膨大な数の挿絵、ゲームならではの独特で簡潔な文体、
そしてなにより”何処から読んでも遊びながら楽しめる”という構造が、私には、とても読み易かったのです!
挿絵を元に、その場面を頭の中に再現するのは容易で、私の想像力はどんどん鍛えられました。
それからは、場面を想像する事が楽しくなり、本に対する苦手意識も少しずつ減りました。
今では文字だけでも場面を想像し易く、「美女」の文字から私好みの女性を、
「カッコイイ男」の文字から私の理想とする男性を自由に想像します。
また、知らない言葉に出会う度、自分の中にある曖昧な概念が消え、前より少し賢くなった気がします。
そして、美しい言葉に出会う度、前より少しこの世界が豊かになった気がするのです。

私は、読書が苦手な方に、「本は面白い!」という体験をして欲しいと願っています。
「そういえば幼い頃に読みたい本があったな…」
そう頭に描いた方は、今なら簡単に読めるかもしれませんよ!
私は30歳を超えてからジュール・ヴェルヌの『海底二万里』、『十五少年漂流記』を読みました。
とても面白く、感動しました。
そういった想いで、“なるべく読み易い本”として私は本作を製作しました。
本作には音楽や音声(一部)、効果音もあり、沢山の挿絵とアニメーションなど、読書をサポートする仕掛けが沢山あります。
ゲームが終わるころには、膨大な数の文章を読み、本作の知識が頭に記憶される事でしょう。
それは読書であり、あなたの想像力が少なからず鍛えられた結果と言えます。
本を読むのには、ある程度の鍛錬や技術が必要なのだと思います。
是非一度本作を触って頂いて、楽に読書の楽しさを感じてみてください。
読書の機会が減っていく時代の中、今一度、本、文書、文字、言葉に対する興味や好奇心、愛を皆々様が再考されること、大切に想われることを祈って。
そしてまた、ゲームブックの流行が来ますように(笑)
ジギタリス出版 ニシムラ ヨシヲ
