3.ゲームブックとズル
“ゲーム”と名の付くものには多かれ少なかれ必ず“ルール”があり、ゲームブックも例に漏れず“ルール”があります。選んだ選択肢のパラグラフ(頭に数字が書かれた文章の区切り)に飛んだり、サイコロを振って出た目の通りに判定したり、特定のアイテムを持っているかで選択肢が変ったり、戦闘や交渉や運試しなどなど。
ルールを守る事はゲームを楽しむうえで絶対といえますが、時に理不尽を感じたり、徒労を感じたり、後悔があったりします。そんな時、私は“ズル”をするのです。“ズル”と聞くと何だか悪い事をしている様ですが、楽しむ為には、やむを得ない場合もあるでしょう。むしろ“ズル”をすることで楽しくなる場合もあります。
ゲーム内のキャラクターが死んでしまい、ルール通り初めからやり直すより、「死ななかった」ことにして、次の展開が気になっている内に読み進めた方が楽しさが持続出来ます。これは時間短縮の“ズル”ですね。甲乙付け難い選択肢の時、ページに指で挟み、どちらの選択が良かったのか読み比べて、気に入った方で先に進みます。これは結果を変えるという“ズル”ですね。自分で選択するので結果に理不尽を感じませんし、普段決して自分では選ばない行動を気安く試せます。自分が“ズル”をして不快になるか?楽しくなるか?ルールに対する厳しさは、自分や他人に対して寛容か厳しいかを推し量る事にも繋がるでしょう。そう考えると“ズル”は新たな発見を促すとも言えます。

とはいえ、“ズル”をすると多少の罪悪感が芽生えてしまいます。見事ゲームをクリアしても、「“ズル”をして本当にクリアしたと言えるのか」「苦労した感覚が無いから、達成感もあまりない」などマイナスの面があります。昔知り合った先輩に、「ゲームブックでゲームオーバーになったら、何度でも必ず最初のページからやり直す」という鉄人が居ました。その話を聞いてからちょっぴり彼の事を尊敬の眼差しで見るようになったのを覚えています。
ゲームブックはデジタル化することで、“途中セーブ”という機能(サービス?)が付きます。これはゲームブックにおいては“ズル”でしたが、デジタルのゲームにおいては良くある普通の機能です。一度選んだ選択肢を無かったことにして、別の道に進む。戦闘で死んでしまっても、戦わないで済む道を模索する。取り忘れたアイテムを回収に巻き戻る。等が罪悪感無しに出来ます。十分に活用しましょう!また“ズル”を肯定する私は本作にも“ズル”が出来る場を少々持ち込みました。“裏技”と言った方が良いかもしれません。どんな裏技があるのか、“ズル”が好きな方は探してみてください!
ジギタリス出版 ニシムラ ヨシヲ
